高解像度(ハイレゾ)オーディオ初心者向けガイド
高解像度オーディオまたはハイレゾオーディオは、さまざまなスピーカーや音声フォーマットを比較する際に出てくる用語です。ご想像のとおり、これは高いレベルの音質を意味します。でも、何と比較して高いのでしょうか?その答えは、目や耳だけに頼るものではありません。
まずは比較する対象をいくつか見てみましょう。ハイレゾオーディオの音質は、MP3よりも優れています。それだけでなく、人間の聴覚範囲で十分と考えられていた標準的なCDオーディオよりも優れているのです。今では、CDの再現能力を超える音質の違いを多くの人が感じ取れることが分かっており、ここからハイレゾオーディオの定義が確立されました。
要するに、デジタル音源が標準的なCDの音質を上回ると、ハイレゾオーディオと見なされます。「音質」という言葉は主観的に聞こえるかもしれませんが、オーディオトラックの品質は2つの客観的な指標で評価できます。1つはビット深度(ビット)、もう1つはサンプリングレート(kHz)です。
ハイレゾオーディオとは?
ハイレゾオーディオとは、標準的なCD音質では元のトラックの繊細なニュアンスやディテールをより豊かに表現するオーディオフォーマットとして定義されます。具体的には、よりクリアかつきめ細かで、さらに臨場感あふれるサウンド体験を意味します。技術視点では、24ビット以上のビット深度や48 kHz以上のサンプリングレートを意味します。これは、標準のCD音質である16ビットや44.1 kHzよりも高いものです。
これらは、単なる数字のように見えますが、最高のサウンド体験を楽しむためには、ビット深度とサンプリングレートを理解することが重要です。
ビット深度とサンプリングレート:音質の重要な要素
音質を考える際に重要なのは、オーディオトラックが録音されたライブサウンドをどれだけ忠実に捉えているかということです。音質が優れているほど、実際に部屋でライブ演奏を聴いている感覚になります。
ライブサウンドをデジタル音声フォーマットで録音する際、サウンドエンジニアはできるだけ広いダイナミックレンジと周波数応答を捉えることを重視します。ダイナミックレンジとは、録音できる最も静かな音と最も大きな音の差です。周波数応答は、オーディオトラックが低音から高音までの周波数をどれだけ忠実に再現できるかを測る指標です。
それぞれの要素は、ビット深度とサンプリングレートという特定の測定値に対応します。
- ビット深度は、音波のスナップショットを構成するビット(情報の断片)の数を示します。ビット深度が高いほどサウンドのダイナミックレンジが広くなります。つまり、聴こえる最も大きな音と最も小さな音の範囲が広がるということです。
- サンプリングレートは、元の音波からどれだけのスナップショット(サンプル)が取得されるかを示します。サンプリングレートが高いほど、トラックは元の録音をより細部まで捉えることができます。また、サンプリングレートが高いほど、より高い周波数の音も捉え、再現することができます。
上記のように、ハイレゾオーディオファイルでは、一般的に24ビットのビット深度と48kHz以上のサンプリングレートが使用されます。どちらの値も、16ビットのビット深度と44.1 kHzのサンプリングレートの標準CD音質よりも大幅に高くなっています。
下の図は、24ビット録音がどのようにしてより広いダイナミックレンジの音を捉えるかを視覚的に示しています。これは、より多くの魚を捕まえるためにより大きな網を使用するのと似ています。詳しくみていきましょう。
ハイレゾオーディオに対応するオーディオファイルの種類とは?
ハイレゾオーディオがこれほど優れているなら、今までどうして聴いてこなかったのかと思うかもしれません。その答えはテクノロジーにあります。具体的には、対応できるオーディオファイルの種類と、そのオーディオデータをすべて収めるために必要な容量がポイントとなります。
オーディオファイルの種類で主な違いのひとつは、圧縮と呼ばれるプロセスに関係しています。このプロセスでは、録音された音の波形を縮小し、転送や保存がしやすい小さなサイズにします。
圧縮は、一般的に2種類に分けられます。
- ロッシー圧縮では、元のオーディオ録音に含まれる一部のデータが失われるため、音質が著しく低下する可能性があります。
- ロスレス圧縮では、元のオーディオ録音のすべてのオーディオ情報を保持しながら、ファイルのサイズを縮小することができます。これがハイレゾオーディオに関連する圧縮の種類になります。
オーディオファイルの一部には、圧縮されずに元の録音のすべての要素を保持するものもあります。ただし、これらのファイルサイズは非常に大きくなる可能性があります。これまでは、音質またはストレージ容量と利便性のどちらを妥協するか決めなければなりませんでした。しかし今は、ロスレス圧縮をサポートする新しいファイル形式の進化により変化し始めています。
もっとわかりやすくするために、ハイレゾ(24ビット、48 kHz)で録音された曲がどのようにしてオーディオファイル形式となり、リスナーに届くのか詳しく見ていきましょう。
ご覧のとおり、元の録音は一般的に非圧縮の生オーディオフォーマットと標準CDフォーマットの2つのバージョンに分けられて配信されます。非圧縮フォーマットのデータを使って、FLACやALACといったロスレスファイル形式、またはMP3やAACなどのロッシーファイル形式を作成します。
ハイレゾ vs. ロスレスオーディオ
上の図で、ハイレゾとCD音質の両方が「ロスレス」と表示されていることにお気づきかもしれません。CD形式でエンコードされたオーディオは、アナログの波形を精密かつ正確に捉えているため、ロスレスと見なされます。ライブパフォーマンスほどのダイナミックレンジや周波数特性は再現できないかもしれませんが、CDは元の録音のデータを歪めたり損なったりするような圧縮は行いません。
ハイレゾオーディオとロスレスオーディオを比較する際に重要なのは、ハイレゾオーディオでは圧縮によってデータが失われるかどうかだけではないという点です。ハイレゾオーディオとは、標準的なCD音質で達成できるものよりも高いビットレートとサンプリングレートを実現するオーディオを指します。そのため、ロスレスのトラックはハイレゾである可能性もありますが、必ずしもそうとは限りません。
ハイレゾオーディオの音質はロスレスよりも良い?
結論から言うと、YESです。ただし、誰もがその違いに気づくわけではありません。
かつて標準的なCD音質(16ビット、44.1 kHz)には、人間の耳が聞き取れる周波数の範囲がすべて含まれると考えられていました。その後、CD音質で再現できる範囲以上の周波数を実際に聞き取れる人がいることが証明されました。このような人なら、ハイレゾオーディオの方が良く聞こえるとほぼ断言できます。しかし、聴力が損なわれたり衰えたりした人にとっては、CDやMP3とさほど変わらないように聞こえるかもしれません。
違いが聞き取れるかどうか自分でも確認してみたい人は、まずはNPRによるオーディオテストを試すとよいでしょう。可能な限り正確な結果を得るには、Sonos Aceなどの高品質のヘッドフォン、または高忠実度(HiFi)オーディオの再生が可能な機器で聴くようにしてください。
ハイレゾオーディオを聴く方法
ますます多くのストリーミングサービスで、ロスレスやハイレゾオーディオが選べるオプションを提供しています。たとえばAmazon Musicでは現在、多くの曲がUltra HDで提供されており、CD音質以上の高解像度(最大24ビット/192kHz)を体験することができます。Apple MusicのALACファイル形式も最大24ビット/192 kHzのハイレゾオーディオをサポートしますが、まずは設定でオンにする必要があります。
真のハイレゾオーディオ体験には、特定のストリーミングサービスやファイルの種類だけでなく、元の録音の深みとディテールを正確に再現できるオーディオ機器も必要です。
実際、Sonos Aceヘッドフォンを使用すれば、Bluetooth接続でロスレスオーディオをストリーミングでき、感動的なサウンドが楽しめます。最も忠実にハイレゾオーディオを再生するには、WiFi接続のスピーカーを使用するか、Sonos Aceに付属の3.5mmケーブルでヘッドフォンを音源に接続する必要があります。
ハイレゾ音質が役立つのは、音楽だけではありません。Sonosのホームシアターシステムなら、お気に入りの映画やテレビ番組もハイレゾ音質で楽しめます。Sonos Arc Ultraなどのプレミアムサウンドバーは、ハイレゾオーディオに対応し、サウンドが部屋中に響き渡ることで、より臨場感あふれる体験をもたらします。
Sonosでハイレゾオーディオを体験
ストリーミング機能やファイル形式のオプションがますます増えるなかで、Sonosはハイレゾオーディオを忠実に再現できる製品の開発に取り組んでいます。ハイレゾ再生に対応したストリーミングサービス(Apple Music、Amazon Musicなど)の情報は、こちらのサポート記事で確認できます。Sonosのワイヤレススピーカーのラインナップには、Sonos Era 300やSonos Fiveなど、ハイレゾオーディオ再生対応の高性能モデルもご用意しています。
それだけでなく、他にも魅力はたくさんあります。Dolby Atmosを採用したSonosのサウンドバーは、最高峰のハイレゾオーディオ体験を実現し、臨場感あふれる多次元のサウンドステージを作り出します。これはまさに、空間オーディオの可能性を再定義させるものなのです。プレミアムなオーバーイヤーヘッドフォンのSonos Aceなら、3.5 mmケーブルで接続して個別にハイレゾ体験を楽しめます。(Sonos Aceは、BluetoothまたはUSB-Cで接続して、ロスレス音質を実現できます。)
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